白い大型犬とセットで天然光の王をお持ち帰り~したいです
奇妙でおかしな変人ですが、宜しく
ちなみに好きなタイプは天然貧乳です(誰も聞いてねぇよ)
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前編の倍位の量があったりします。
やはり中、後編に分けるべきだったか?
本文は続きからドウゾ!!
拍手ポチポチどうもです。
※誤字があったらさーせん!
では以下本文です。
目が覚めると、其処には昨日と変わらず規則正しい寝息を立てている劉黒ちゃんが横に居た。
俺は起こさない様、静かにベッドを抜け出すとキッチンの換気扇を点け煙草を口に銜える
ジッポーの蓋を開け火を点けた
ふーっと吐く息と共に白い煙が換気扇の中へ吸い込まれてゆく
さて、どうするかな…ずっとこのままって訳にもいかないし。
劉黒にアキの事も頼まれてるから、いずれ此処から出ていくかもしれない
それこそもしかしたら王宮に帰る日が近々訪れる可能性もある…
勿論りゅうこちゃんは連れて行ける筈も無いしなぁ
ウチにりゅうこちゃんが来て3日目か
その時携帯の着信が鳴る
ディスプレイを見てみると、アキからのメールだった
「何々…今日の放課後行くから宜しく…ってえ?」
あまりに突然な内容に驚く俺
どうしようかな、りゅうこちゃんの事何て説明したら…
そもそもアキ達が来てる時りゅうこちゃん大人しくしてくれると良いんだけど
「うーん」
俺が悩んでいるとベッドの方からりゅうこちゃんが目を擦りながら起きてきた
「おはようりゅうこちゃん、良く眠れた?」
返答代わりにこくこくと頷いてくれた
「そう、じゃぁ今朝ごはん作ってあげるから待っててね」
にこっと笑ってあげると、りゅうこちゃんも笑い返してくれる
こんな日常も悪くないなぁ…
でもまぁ、一時の事なんだろうけど
朝ごはんを二人で食べながら、アキ達が来る事を伝えるといつもの様に頷いて返事を返してくれた。
さて、アキ達は何の用だろう?
「洸兄!」
アキとケンが階段を上ってきた
「いらっしゃい。さ、ドウゾ」
「サンキュー洸兄」
テーブルにコーヒーの入ったカップを置く
ケンは早速カップに手を伸ばすと、一口啜った
俺も自分のカップを口に運ぶ
「所でさ、昨日洸兄が俺ら位の女の子と買い物してたって話、健吾から聞いたんだけど」
ブッ!?
飲みかけていたコーヒーを逆噴射させた
「うわっ!?何してんだよ!!」
「え、その反応って事はやっぱアレ洸兄だったんだ!」
テーブルを拭きながら、眉間にシワを寄せる
まさか、見られていたとは…不覚
「え、あーうんまぁね…」
ケンは興味深々で喰らい付いてくる
アキは興味無さそうに、近くにあったシルバーアクセの雑誌を手に取り読みだした
「ねーねーどんな子?可愛い?その子とはどんな関係なの?」
その食いつき方お前は女子か…汗
ま、確かに可愛いは可愛いけど
「んーちょっと事情があって、ウチで預かってるんだよ。」
その時、奥の部屋からガタンと大きな音がした
まさかりゅうこちゃん!何かあったのかな?
「ちょっと待ってて」
俺は急いで部屋の様子を見に行った
中に入ると、電気スタンドが棚の上から落ちている
近くにはオロオロしているりゅうこちゃんが…
「大丈夫、怪我は無い?」
頭を撫でてやると、瞳を潤ませながら小さく頷いた
どうやらコンセントに引っかかって、落としてしまったらしい
りゅうこちゃんの手を引き立たせてあげ、電気スタンドを元の位置に戻すと直後に
後ろからケンの声が聞こえた
「あ、その子!昨日一緒に居た子だ!」
「ちょ、ケン!?」
「あれ、何だか昶に似てる気がするんだけど…うわっ」
制服の首元を掴むと、力任せに部屋の外へ連れ出す
むりやりケンを引っ張ってソファーの前まで引きずって行った
そのまま出てきちゃったけど、りゅうこちゃん大丈夫かな?
「何すんだよー」
「何すんだよじゃ無いでしょ!俺は待っててって言ったよねケン?」
ギリギリと腕で首元を締め上げると、苦しくなってきたのか腕を叩いてきた
「ゴメンて!だって気になったんだよー」
「まぁ、そんだけ隠されると気になるけどな」
「アキまで!?いや、あの子人見知り激しいし記憶喪失で自分の事も分からないからさ」
俺の言葉に二人は衝撃を受けたのか固まった
そりゃ吃驚するよね、記憶喪失の少女を預かってたら…
「成程、それで事情があるって言ったのか…仕事で?」
「いや、ウチの前に倒れてたから放っておけなくてねー。素直な良い子だし」
「ふーん、じゃ俺らはそろそろ帰るか」
何かを感じたのか、俺の話を聞くとアキは席を立った
それを追いかける様にケンも後に続く
「気を付けてねw」
「あぁ、またな洸兄」
「じゃーねー」
俺が見送るとケンが手を振って反してくれた。
はぁ、何かどっと疲れたなぁ…
さて、テーブルのカップ片づけてりゅうこちゃんに部屋から出てきて貰わないと
部屋のドアを開けると、りゅうこちゃんは大人しく床に座っていた
「ごめんね、何かバタバタしちゃって…お腹空いたでしょ?お茶にでもしようか」
りゅうこちゃんは立ち上がると俺の手を握ってにっこり微笑んだ
テーブルの前まで移動すると、戸棚に入れてあったクッキーを皿に乗せる
りゅうこちゃんはそれを見るとキッチンの中からティーポットを引っ張り出してきた
「紅茶が飲みたいの?」
俺の言葉にこくこくと頷いて、やかんに水を汲み火に掛ける
紅茶の茶葉、たしかこっちに入れてたよね…あ、あった!
「はいりゅうこちゃん、紅茶の茶葉」
慣れた手つきでポットを温め、沸騰したお湯をリーフの入ったポット目掛けて勢い良く注ぐと
注がれたお湯がほんのり泡立ちながら、湯気が立ち上る
と、りゅうこちゃんは辺りをきょろきょろ見回す
「あ、もしかして時間計るもの欲しいの?」
こくんと首を縦に振る
「じゃ携帯のタイマーで良いかな?」
俺から携帯を受け取ると時間をセットして、スタートを押した。
やがて、ポットの中のリーフは一旦上へ浮上し、少しすると、お湯の対流に合わせて上下に浮いたり沈んだりしている
りゅうこちゃんはその様子を楽しそうに眺めていた。
携帯のタイマーが時間を告げると、二人分のカップに紅茶が注がれ、ふわりと優しい香りが鼻に届いた
そういえば、劉黒も紅茶好きだったよね…
何か、りゅうこちゃんが似ている所為か共通点ばかり探してるなぁ
劉黒と再会してからもう1年も経つんだな
アキもケンも高校生になったし
あぁ、何か辛気臭くなっちゃったよ
隣に座るりゅうこちゃんに目線を移すと、クッキーを食べながら嬉しそうに紅茶を満喫していた
俺もりゅうこちゃんの淹れてくれた紅茶を一口啜る
「あ、美味しい…」
俺の言葉が嬉しかったのか、劉黒ちゃんは満面の笑みで俺の顔を見つめてきた
こんな事続けてちゃ、いざという時別れるのが辛くなるってのに、何してんだろ俺…
その日の夜、りゅうこちゃんは自分の掌を見つめながら、ぼーとしていた
何か、記憶思い出したのかな…?
でも紅茶の淹れ方が分かるんだから全ての記憶が失われている訳じゃないんだろうな
思い出したらもう、お別れなんだよね
俺は人間じゃ無いから、どちらにしろずっと一緒には居られないんだけど
「どうしたの、具合悪い?」
俺はりゅうこちゃんの目線に合わせて屈むと、優しく声を掛けた。
しかし、彼女は俯きながら首を振ると俺の手を両手で包むと、ぎゅっと握る
『お別れだ…今までありがとう洸』
「えっ!?」
そう呟いたりゅうこちゃんの体が少しづつ透けていく
ちょっと待って、急に…それにその声!!
「そんなッ劉黒!劉黒なんでしょ?」
俺はりゅうこちゃんの体を抱く様に両手で抱きしめた
刹那、俺の両腕は空を切る
光を帯びながら、りゅうこちゃんの体は消えていくが表情は優しく微笑んでいた
1年前、廃工場で再会した時と同じように…
床に両膝を着きながら、りゅうこちゃんが今まで居た場所を見つめた
「なん…で?どうしてこんな…」
ぽたり、またぽたりと目から落ちる涙がズボンに小さくシミを作る
「りゅう…こ」
強く歯を噛みしめた
もっと早く分かっていたなら、色々な話も出来たのに
楽しかった事、面白かった事、アキ達に会って変わった事…
自責の念ばかりが強く伸し掛かる
それとも夢だったのかな?
俺の前に早々劉黒が現れる訳無いもんね
しかも、アキとは別の体で…
だが、そう割り切るのも現実に彼女が俺の元へ居た十分な証拠があった
一緒に買いに行った服やカップ
今まで其処に存在していたという物理的な証
「はは…駄目だな俺。ちっとも成長して無いや」
あの頃からずっと後悔してばかりだ
あれ?此処何処だろう…
あ、夢の中か。いつの間にか寝ちゃったんだ俺
『う…』
ん?何処からか声が聞こえる
『洸…私だ』
え、劉黒?何で…
『突然消えてしまって吃驚しただろう?』
あ、もしかしてりゅうこちゃんの?
『あぁ、声と記憶を代償に術式を発動させて一時的にあの少年とは別に人間として実体化していたんだ。
性別が変わってしまったうえに、あまり長くは持たなかったがな。』
それでりゅうこちゃん、記憶が無かったうえに喋れなかったんだ。
『そうなんだ、一時的に実体化したあの後お前の事が色々心配になってな、何とか接触を図ろうとしたのだが
この様な形になってしまって済まなかったな』
そっか、いや劉黒は何も悪くないよ!
こうしてまた会いに来てくれたんだもん
『あの少女の姿なら触れる事も出来たのだが、もう肉体が無い以上直接触れる事は叶わんが
夢を介してなら話位は出来るな』
うん、劉黒の声が聴けるだけでも十分だよ。
こうして会話も出来るしね!
『洸、あの後泣いたのだろう?涙の跡が残っているぞ』
え////
あ、うん…やっぱ劉黒と別れるのは辛いし
でもこうしてまた会えたからいっかなv
『そうか、ならば良いのだが…夢の中とはいえ、そう長くも居られんのでな
私はそろそろ戻るとしよう』
劉黒、色々ありがとう
何か俺、貰ってばっかりだね
『そんな事は無いぞ。優しくて、良い子に育ったな洸。
これからもあの少年を支えてやってくれ』
勿論だよ!
じゃぁね劉黒
『あぁ、達者でな洸…』
俺の前で淡く光っていた劉黒の姿がすっと消えていく
わざわざその事を言いに来てくれたなんて…
やっぱ俺、劉黒の事が一番大好きだ
ずっと、ずっと…永遠にこの気持ちは変わらないよ
俺の生みの親は貴方だけだから…
【想い人】END